卒論や修論の時期が近づくにつれて、自身の研究の新規性に関する悩み、不安も出てくると思います。
- 先行研究と同じ
- 全然成果が無い
「学生だから新規性が無くても卒業出来るでしょ」と考えている方もいるかもしれませんが、学生だろうが研究者だろうが関係なく、研究及び論文には新規性が不可欠です。
しかし、求められているレベルが違うので、新規性に関する過度な心配は無用です。
ここでは、卒論や修論に要求される新規性及び意識して欲しい点について紹介します。
目次
そもそも新規性とは ? 何故必要なのか
論文では「~だからこの研究が必要です」という研究意義を主張する必要があります。
- 現状どんな課題があり、それが全体にどんな影響を与えているか
- この研究によって全体にどんなメリットがあり、どのような発展が期待されるか
この研究意義を示すためには新規性も必要になります。
既に報告されている内容なら、わざわざ研究する価値が無いので、
- 従来と何が違うのか
- どこが新たな試みか
の二点が絶対必要です。
どれだけ真面目に取り組んでも新規性が無いと論文は受理してもらえないので、先行研究や文献の調査を常に意識しましょう。
卒論で要求されるレベル
卒論では研究目的に新規性があり、その目標に向けて安全に実験できていれば十分合格の範囲内です。
初学者が短期間で論文を完成させなければいけないので、研究テーマの核となる実験に取り組むための準備、土台作りが卒論の中心になります。
しかしテーマの引き継ぎの場合、前任者と全く同じ進捗では新規性が無い状態になってしまいます。
同じ研究室の後輩が引き継ぎのテーマに取り組んでいましたが、前任者とほぼ変わらない進捗だったので、指導教員から「君、このままじゃ本当に卒業できないからね」と宣告されていました。
彼は何とか卒業出来ましたが、新規の実験に取り掛かるために提出ギリギリまでずっと実験していました。
研究の入り口となる卒論では新規性があることは前提ですが、研究への取り組み方が重要視されるので、真面目に取り組んでいれば問題無く卒業出来ます。
修論で要求されるレベル
1 年間の研究活動経験があるので、当然要求されるレベルも高くなります。
学術誌に投稿できるような研究成果は求められていませんが、テーマの本題に関する実験及び検討が修論の中心になります。
成果に関してはテーマの難易度も少なからず絡むので、修論の段階で深刻に悩む必要はありません。
私自身も当時悩んでいたので指導教員に相談したところ、「博士だと成果は求めるけど、修士の段階だったらそこまで気にしなくていい」と言われました。
実際に私の修論はテーマの本題に関わる実験に少し触れた程度でしたが、無事に卒業出来ました。
ある程度の実験データは必要ですが、成果が無くても 具体的な改善策の提案 と 今後発展させるために必要な点 を述べれば修論としては十分合格の範囲内です。
新規性が無ければ、有るように方向転換する
どれだけ真面目に研究に取り組んできても、なかなか期待通りの結果が出ないのが研究です。
私自身がそうでしたが、進捗が無くて悩んでいる学生さんも沢山いると思います。
進捗が無いのは別に悪いことではありませんが、卒業するためには新規性が欠かせません。
そこで、方向転換が選択肢として挙げられます。
- 研究対象の変更
前任者と同じ進捗でも他の対象に応用可能であれば、対象を変えるだけでも十分新規性になり得る - 効率化 / 再現性 等 の検討
前任者の実験データがよろしくない、実験工程の効率が悪い、再現性が取れない場合、その検討を研究目的とする
研究が進まないということは、今直面している実験がその研究における大きな課題の 1 つということですよね。
その検討を中心としたテーマに方向転換するのも選択肢の 1 つです。
実際に私が在学中に論文提出が迫ってから方向転換した学生は 3, 4 人程いました。
期限が限られているので、なかなか越えられない壁に直面した時は方向転換も検討しましょう。
まとめ
順調に研究が進む人もいればそうじゃない人もいますし、成果が求められる研究者ではなく、あくまで学生です。
オリジナリティに拘った研究であれば、成果が無くても卒業出来ます。
自分以上に自分の研究テーマについて考え、悩んでいる人はいないので、自分がやってきたことに自信を持って論文に挑みましょう。
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