理系大学生は卒業研究/論文に取り組むために、学部 3 年生の間に所属する研究室を選択します。
各研究室の指導教員によって学生への指導方針や研究室の運営方針が異なるため、事前によく把握してから所属先を決めるのが大切です。
合わないからといってコロコロ変更できませんし、卒業研究は履修中止できないので、安易な選択は絶対に避けるべきです。
しかし、研究生活を経験したことが無いから何を質問すればいいのか分からない方が多いと思います。
ここでは、有意義な研究生活を送るために研究室訪問で聞いておくべき質問事項について紹介します。
目次
そもそも何のために ? 研究室訪問の目的
大学によるかもしれませんが、自身が在籍する学科の研究室を訪問してから、配属希望届を提出するのが一般的な流れです。
形式上仕方なく訪問するのではなく、翌年には自分が研究生活を送っていることを見据えて研究室訪問をしなければ意味がありません。
そこで、まずは目的を自分自身ではっきりと認識しておく必要があります。
- 研究内容を詳しく把握する
- 研究室の雰囲気を把握する
- 指導教員との相性を確認する
最低でも 1 年間はその環境で研究中心の生活を送るので、必ず複数見学することをお勧めします。
研究内容を詳しく把握する
研究室の HP には簡潔に研究内容をまとめてありますが、もし配属されたら、その研究分野は自分の専門分野になります。
現在進行中の研究テーマや必要になる知識、主に行う実験手法を事前に把握しておきましょう。
研究テーマは教員が考えたテーマの中から学生さんが選ぶケースが多いですが、研究分野をあまり理解していないとテーマ選びに苦戦します。
事前に研究内容を把握しておくことは、テーマ選びやその後の研究活動にも大きく役立ちます。
研究室の雰囲気を把握する
研究室に所属する学生さんが普段どのような生活を送っているのか確認できます。
翌年は自分が同じような生活を送ることになるので、研究生活をイメージし易いです。
また、実験技術や研究の進め方は先輩方から教わるので、院進学する B4 と M1 の先輩がいるかどうかは確認しておきましょう。
指導教員との相性を確認する
指導教員との相性に悩む学生さんは少なくありません。
教員が一方的に喋る講義とは異なり、研究生活では研究について議論したり、基本的に批判されることがほとんどですが、直接教員とコミュニケーションを取る機会が多いです。
そのため、教員との相性はこれから研究生活を送る上で非常に大切で、合わない教員の下で研究生活を送る状況は好ましくありません。
実際に教員とやり取りをする中で、威圧的だなぁと感じる言動があるなら、その研究室は避けた方がいいかもしれません。
所属学生に教員の人柄について尋ねるのが確実です。
確実に抑えておきたい質問内容
研究室訪問時には必ず指導教員への質問時間があるので、自分が気になっていることや不安に感じていることを是非質問しましょう。
以下に私が確実に抑えた方がいいと思う質問内容を紹介します。
- コアタイムと休日の有無
- イベントの有無と頻度
- 研究報告会の頻度
- 研究の進め方について
- 学生の評価基準、求めているレベル
- 就活について教員はどう考えているか
- 院試について (院希望の方)
- 所属学生はどんな学会に参加しているか (院希望の方)
学生にとって大切なのは研究を通じて成長することです。
残念ながら学生を精神的・肉体的に追い詰める研究室は存在するので、そういう研究室に入らないために、教員への質問はもの凄く大切です。
コアタイムと休日の有無
コアタイムとはこの時間からこの時間までは研究室に居なければいけない時間を指します。
コアタイムがあること自体は問題ありませんが、長時間拘束して学生を厳重に管理する体制の研究室もあるので要注意です。
また、土曜日に研究報告会や勉強会を行う研究室もあるので、土日や祝日は絶対に休みたい方は休日の有無を確認してください。
しかし、土日も実験していたり、コアタイムよりも遅くなるのは実験の性質上致し方ない部分ではあるので、実験系研究室に入る場合はそれなりの覚悟が必要です。
イベントの有無と頻度
飲み会や BBQ のようなイベントが多い研究室もあります。
- 歓迎会、忘年会、新年会
- 発表会の打ち上げ
- 旅行
- 他大学との合同セミナー
こういうイベント事が好きな人には楽しい研究室だと思いますが、苦手な人には結構ストレスだと思います。
基本的に幹事や準備をするのは全て学生なので、そういう雑務も学生がやる事になります。
ただ、イベントを通じて研究室のメンバーや教員との距離が縮まることもあります。
研究報告会の頻度
研究の進捗状況を報告するのが研究報告会であり、そして多くの学生さんにとって最も憂鬱な時間でもあります。
研究はなかなか期待通りの結果が得られないため、進捗が無い状態で報告会を迎えることも珍しくありません。
教員の人柄によりますが、きついダメ出しをされることもあるので、多くの学生さんがプレッシャーを感じているはずです。
報告会の頻度が多かったり次回までの間隔が短いほど、よりプレッシャーを感じながら研究生活を送ることになります。
1 人当たり月 1 回ぐらいの頻度での報告会が丁度いいかなぁと個人的に思います。
研究の進め方について
研究室の方針によって研究の進め方には 2 つのタイプがあります。
- 「個人」で研究を進める
- 「チーム」で実験を分担して研究を進める
「チーム」の場合は、個人が担う実験量や負担は少ないですが、自分のペースで研究を進められません。
周りと相談しながら進めていきたい方には「チーム」スタイルが合っていると思います。
一方で「個人」の場合は、負担は大きいですが、周りに左右されずに自分のペースで研究を進められます。
「個人」スタイルが不安な方もいると思いますが、研究開始当初は先輩から実験操作を教わったり、今後の方針を相談しながら進めるので、始めから全部 1 人でやるわけではありません。
また、徐々に慣れてくるので、自分のペースで進められる「個人」スタイルがお勧めです。
学生の何を評価するか、どのレベルを求めているか
学士、修士課程の学生は学術誌への論文投稿が必須ではなく、努力が評価の対象になりますが、その努力は指導教員が評価します。
論文は大学に提出する前に必ず指導教員から「合格」のお墨付きが必要なので、教員の求めているレベルに達していなければ、卒業は認められません。
成果しか評価されない環境では、「卒業のために、成果を出さなければいけない」というプレッシャーとなり、大きなストレスになります。
研究の進展はもちろん大切ですが、研究への取り組む姿勢をちゃんと評価してもらえる研究室であれば、学生にとってすごくいい環境だと思います。
就活についてどう考えているか
学業優先であることに異論はありませんが、就活にある程度理解を示してくれる教員でないと、研究との両立に苦労します。
学生が就活することを快く思っていない教員もいるので、研究と就活の両立についてどう考えているか必ず聞いておきましょう。
しかし、どんな研究室であっても実験中心の生活になるので、就活だけに専念するのは難しいです。
院試について (院希望の方)
大学院への進学を視野に入れている学生は院試について聞いておきましょう。
- 過去問は研究室に保管されているか
- 試験勉強は研究と両立させるのか
入学試験には必ず面接があるので、どういう学生に大学院へ来て欲しいか聞いておくと、面接対策で参考になると思います。
年間でどのくらい学会への参加機会があるのか (院希望の方)
院生は学部生とは違って、学会発表のような実績が求められます。
卒業するために学会発表が必須の大学院もありますし、実績の有無が就活にも少なからず影響します。
学外の専門家から助言を得たり、他大学の学生と意見交換することによって、さらなる研究の進展が期待できますし、専門家を前に発表する経験は自身の成長にも繋がります。
最後に
研究生活が始まると多くの時間を研究室で過ごすことになります。
研究室配属を後悔しないために、明確な目的を持って研究室訪問をしましょう。
また、教員への質問だけでなく、指導 “する” 側と “される” 側では感じ方が異なるので、既に研究生活を送っている所属学生にも質問してください。
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