文部科学省によると、学士課程を修了した学生の内、理学は 42.3%, 工学は 36.3%, 農学は 24.1% の理系学生さんが修士課程へと進学します (平成 30 年) 。
そして、進学する方が多ければ多いほど後悔する方もいるでしょう。
実際に「大学院」の関連ワードに「後悔」が表示されるので、そう思っている方は少なくないようです。
そういう私自身も大学院進学を後悔したことがあります。
ここでは、大学院進学を後悔する可能性が高い人の特徴を紹介します。
そして、既に後悔している学生さんが意識すべき点についても併せて紹介します。
目次
そもそも研究に向いていない人
向いていない事を後 2 年も続けなければならない状況は結構辛いです。
特に “進捗が無い時に頑張れない“ 人は絶対に大学院に進学しないことをお勧めします。
研究生活を過ごしていれば、進捗が無い状況は誰もが経験し、その時にどれだけ検討を重ねられるかが今後に大きく影響してきます。
大学院生は学会発表といった業績が必須なので、学部生の頃よりも進捗や結果が重要です。
さらに、進捗が無い時ほど指導教員からのプレッシャーも凄まじいため、かなりストレスも抱えることになります。
研究テーマによって結果の出やすさは全然違うので、結果の有無が研究向きかどうかを決めるわけではありませんが、向いていない人が大学院へ進むと後悔する可能性は高いと思います。
やりたい事が見つからないから、とりあえず院進学する人
就活を先送りにするために大学院へ進む方もいます。
進学目的は人それぞれなので別に問題無いですが、大学院はやりたい事を見つける所ではありません。
研究室にもよるので断言はできないですが、やる事が多すぎて、やりたい事を考えてる余裕が無いですし、新しいことに挑戦しようという気力すらありません。
- 論文/文献紹介
- 研究報告会
- 実験
- 学会発表準備
- 研究とは関係無い授業
次から次へとやることが増えて、あっという間に就活の時期になります。
大学院に進学したからやりたい事が見つかったという方はほとんどいないのではないでしょうか。
大学院は就職に有利という理由で進学する人
研究職や技術職を志望する学生さんが大学院へ進学するのは一般的だと思います。
企業側も専門職には院卒見込みの学生を募集するので、大学院に進むのは妥当な判断です。
しかし、自分の専門分野が直接関わる職業でない限り、大学院生というだけで就活に有利になるわけではありません。
専門職の募集人数は数人と非常に少ないですし、大学院生も割と沢山いるので、かなりの倍率になります。
また専門職以外の場合、学部卒見込みの学生さんと同程度の能力と判断されたら、給料の低い学部卒の学生さんを採用するでしょう。
そして何より研究と就活の両立がめちゃくちゃ大変です。
研究と就活は両立させろというが実質は研究第一優先の研究室がほとんどなので、満足のいく就活が出来ている大学院生は少ないと思います。
後悔してるからこそ気付くこともある
後悔している学生さんの多くが「学部卒で就職しとけばよかった」と思っていることでしょう。
しかし、その後悔は決して無駄な経験ではなく、だからこそ気付けることもあると思います。
私は大学院での経験から気付けた点がいくつかあります。
- 研究には向かない
- 考え込んだところでアイデアは浮かばない
- 何故あの人が上手くいくのかよく分かる
- 相談して解決する問題もある
- 研究結果に関しては運の要素も絡む
- 学ぶ=試行錯誤する
- 選択肢を用意しとくことで、心に余裕が生まれる
- よく耐えてきたなぁ
私自身が気付けて良かったと思うのが「1. 研究には向かない」ということです。
学部卒で就職していたら研究職への未練や憧れがあったと思うのですが、三年半向き合った結果、自分は向いていないことに気付けたので良かったと思っています。
自分にとって辛い状況だからこそ、自分自身と向き合う絶好の機会です。
大学院で身に付けるべきスキル
大学院で身に付くのは専門知識だけではありません。
せっかく大学院に進学したのだから、将来の自分のためになるスキルを是非身に付けましょう!!
プレゼンスキル
自分のプレゼンに対して、指導教員や先輩方から多くの指摘を受ける/受けてきたと思います。
- スライドの構成
- 実験データの見せ方
- 図や表の配置
- 発表/説明の仕方
プレゼンで重要なのは内容よりも誰にでも分かりやすく伝えることです。
指摘された点を直すだけでなく、自分自身でも考えてスライドを作成し、説明の仕方を工夫しましょう!!
大学院生は圧倒的にプレゼンの機会が多いので、自分で意識して臨むことで確実にプレゼンスキルは向上します。
就活では自分の研究テーマをプレゼンする場合もあるため、身に付けておいて損はありません。
問題解決力
期待通りの結果がほとんど出ない研究では、試行錯誤の繰り返しが何よりも重要です。
- 上手くいかない原因を考える
- 具体的な改善策を考え、実行する
- 結果を客観的に評価する
この問題解決力が役に立つのは研究だけではありません。
今の世の中、学ぼうと思えば何でも手軽に学べますが、すぐに結果が出ないから辞めてしまう方が非常に多いのも事実です。
しかし、「何故上手くいかないのか」「どうすればいいのか」と試行錯誤を重ねられれば、大抵のことは身に付けられます。
問題解決力は自分で何かを学ぶ上で欠かせないスキルの一つだと思います。
研究室は問題解決力を鍛えるにはもってこいの場所ではないでしょうか。
優先順位の設定能力
大学院生はやる事が多く、期限も長く無いので、何を優先すべきなのかをよく考える必要があります。
特に研究では、論文/発表の中心となる実験データの取得に多くの時間を費やしたいので、入念な計画が望ましいです。
実験の度に新たな課題が生じることが多いので、あらかじめ優先順位を設定していれば、
- その課題にどのくらい時間を割けるか
- 期限に間に合うか
- どこで妥協するか
と常に先手で行動できます。
一つのことだけに集中していればいい状況は滅多に無いので、優先順位を設定できるのは強みになると思います。
最後に
おそらく大学院進学を後悔している方は今が一番しんどいと思います。
私も卒業出来た今となってはいい経験だったと思っていますが、当時はたまらなくしんどかったことを今でもよく覚えています。
無駄な 2 年間にしないためにも、明確な目標を持って残りの研究生活を過ごして欲しいと思っています。
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