毎日失敗を重ねる研究生活において粘り強く試行錯誤し続けることが大切であり、本人の「意欲」の有無が研究の進展にも少なからず影響します。
しかし研究だけに限った話ではありませんが、意欲があっても努力の方向性がズレてしまうと結果も伴いませんし、大きなタイムロスに繋がってしまいます。
そのため、やる気の有無と研究の向き不向きはあまり関係ありません。
私は研究に意欲的な方でしたが、努力の方向性がズレていたので、いつも余計なところに時間と労力を注いでいました。
そのせいで卒論は 1 番大事なデータを得るための実験が間に合いませんでした。
院進学しても相変わらず余計なことに時間を掛けていましたが、M2 になる数カ月くらい前に方向性のズレを自覚出来たおかげで少し余裕を持って修論に臨むことが出来ました。
ここでは、やる気はあるけど研究に向いていないと感じる学生さんが研究生活で心掛けて欲しい点を紹介します。
目次
本題から逸れていないかどうか常に意識する
研究は学生さんが主体的に取り組むことが求められ、教員から逐一指示を出されることはまずありません。
そのため、学生自身の考えに基づいてある程度自由に実験を行えるはずです。
決して簡単なことではありませんが、経験を重ねることで「 1 人でもやっていける !!」という自信やモチベーションに繋がる方もいると思います。
ただ意識しなければいけないのは、自分で考えて取り組んでいるからこそ、目の前の課題や自分のやり方に拘り過ぎないことです。
研究生活において自分の納得いく結果が得られないことは珍しくないですが、論文提出までの期限は長くありません。
真剣に取り組んでいるからこそ、納得いかない部分に時間を割きたくなる気持ちは私自身がそうだったのでよく分かります。
ただ期限がある以上、本題から逸れることに多くの時間は掛けられません。
どんな研究にも必ず課題はありますが、卒論や修論レベルでも取り組んだ研究をまとめるのが論文なので、論文として形にするために、
- テーマの中で切りのいいところまで進める
- テーマの核となる実験データの取得に取り掛かる
のどちらかが求められます。
そのため、中途半端な進捗状況で論文提出を間近に控えるのは絶対に避けたいところです。
こういう状況にならないために、本題から逸れていないかを常に意識して日々の研究生活を送りましょう。
上手くいかない場合を想定して準備しておく
前述のように中途半端な進捗状況は避けたいですし、何よりも本人が 1 番精神的にしんどいと思います。
私もそうでしたし、同じように追い込まれている後輩達を何人も見てきました。
そうならないために本題から逸れていないか意識することに加えて、上手くいかないことを想定して事前に他の実験方法・条件、妥協点を考えておくことを強くお勧めします。
あらかじめ準備しておくことで常に先手で対処できますし、言い方は悪いですが逃げ道を作っておくことにより、心の余裕にも繋がります。
私が B4 の頃は “上手くいかなかった場合はどうするか” を全く考えていなかったのでいつも後手後手でしたし、精神的にも追い詰められていました。
しかし、M2 になる頃には上手くいかない場合を想定し、逃げ道を用意していたおかげで少し余裕を持って修論に臨めました。
研究に慣れたという点は確かに大きい要因の 1 つでしたが、何よりも研究室に保管されている卒業生 (先輩方) の研究データが非常に参考になりました。
研究室の発足年数や規模にもよりますが、行える実験には限りがありますし、似たようなテーマ・実験が多いと思います。
自分と似たような実験を行っていた方の資料を参考にすることで、方法・条件に選択肢が増えますし、自分とは全然違う実験でも自分の実験が上手くいかなかった時の逃げ道として使える可能性もあります。
- どういう目的でどんな実験方法・条件を採用していたか
- 上手くいかない要因は何だと考えていたか
- 具体的な改善策として何が挙げられていたか
使えるものは積極的に利用して、常に先手で対処できるように準備しておきましょう。
完璧よりも徐々に改善することを意識する
初めて行う実験って準備や自分の操作が正しいのか不安ですよね。
そのため不安や失敗したくない気持ちが強いほど心理的なハードルは高くなりますし、「完璧に理解した上で実験に臨みたい」と考えて論文調査や専門書での勉強に多くの時間を割くと思います。
別に勉強に時間を割くのは悪いことではありませんし、私も失敗に抵抗を感じていたので準備には結構時間を割いていました。
しかし期限があるので、時間を掛け過ぎてなかなか実験に取り組めない状況はよろしくありません。
研究において失敗しないなんて不可能ですし、論文の再現実験すら上手くいかないことも珍しくありません。
さらに実際にやってみて初めて気付く点もあるので、それによって課題の発見や次回に向けた改善策の提案に繋がります。
そのため最初から完璧を求めるのではなく、徐々に改善していけばいいと捉えるようにしましょう。
失敗に後ろめたさを感じる必要は一切にありませんし、「上手くいかない方が当たり前」と多少開き直る気持ちがあってもいいと思います。
行き詰った時は積極的に相談する
研究は 1 人で行わないといけないものではありません。
自分の中で行き詰ってしまった時は積極的に周囲に相談しましょう。
周りに助言を求めることは恥ずかしいことではありませんし、行き詰った時の頑固さは全く役に立ちません。
私が B4 の頃は研究は 1 人でやるものだと思い込んでいましたし、この実験をやったことのない人に相談するのは無意味だと思い上がっていたので、全部 1 人で抱え込んで大失敗しました。笑
当時の失敗を踏まえて、修士になってからは自分で考えてもサッパリな時は躊躇なく他のメンバーや教員に相談するようにしました。
相談したから必ず問題が解決するわけではないですし、実際に私も相談して解決した問題はそんなにありませんでしたが、自分が悩んでいることを知っている人が身近にいるってことで精神的な負担が少し軽くなった記憶があります。
自分で 30 分くらい考えても何も思い浮かばないのであれば、それ以上考えても変わらないので、躊躇わずに相談することをお勧めします。
最後に
研究に真剣に取り組む姿勢は素晴らしいことだと思います。
しかし、研究は気合いや根性でどうにかなるものではないので、自分自身が進んでいる方向がズレていないか確認することは非常に大切です。
関連記事
カワラボ
最新記事 by カワラボ (全て見る)
- 大学院進学は避けた方がいい ? 研究に向かない人の特徴 - 2021年4月5日
- 研究室の教授と合わない学生が関係を悪化させないために意識すべき点 - 2021年2月12日
- 修論発表会の不安や緊張との向き合い方 - 2021年1月29日
コメント