研究生活を過ごしていれば実験が期待通りに進まない状況は誰もが経験します。
「研究とはそういうものだ」と分かっていても、なかなかその状況から抜け出せないとかなり精神的に堪えますよね。
全然進捗が出ない日々が続くと、研究室にも行きたくなくなる学生さんもいるのではないでしょうか。
同じ研究室のメンバーで結果を出している学生がいると、つい自分と比較して落ち込んでしまうこともあると思います。
他人との比較自体は無意味だと思いますが、かつての私がそうだったので、この気持ちは痛いほど分かります。
なかなか上手くいくことが少ない研究生活では、自分自身を追い詰めないために考え方を変える必要があります。
ここでは、研究が進展しない学生さんに心掛けて欲しい点を紹介します。
目次
ダメな方向性を示す実験データも重要
学生と言えども卒論や修論を書くためには、ある程度の実験データは必要なので、どうしても目先の結果に拘ってしまうと思います。
しかし、研究には答えが無いので、努力したから必ずしも期待通りの結果が得られるわけではありませんよね。
指導教員や先輩に相談しても上手くいく保証も一切ありません。
そのため、今後研究を進展させるためにダメな方向性を示した実験データはとても貴重です。
その得られた結果から考えられる原因と具体的な改善策の提案に繋がるので、「この条件だとこういう結果になる」というデータは決して無駄ではありません。
自分を卑下する必要は一切ない
実験が上手くいかなかった際に、原因を探ろうと瞬時に頭を切り替えられる方はあまり多くないと思います。
特に停滞している期間が長ければ長いほど、落ち込んでしまうと思います。
研究への批判や指摘はありがたいですが、報告会では教員からまるで悪いことでもしたかのようにボロクソに言われることもあるでしょう。
上手くいっている人と比較してさらに落ち込んでしまうこともあると思います。
ただ、研究が進まないのは周りより劣っているからではありません。
答えが無いことに取り組むのが難しくて大変だからです。
優秀な人が取り組んだら解決するような課題なら、とっくの昔に誰かが解決しています。
私は精神論の類が好きじゃないので、上手くいっていない状況を無理に前向きに捉えなくていいと思いますが、自分を卑下する必要は一切ありません。
結果の有無と向き不向きは関係ない
結果の有無に関しては研究テーマの難易度も絡んできます。
- 既にある程度実験系が確立されている
- 再現性の検証
- 実験系の確立が求められる
- 準備に相当時間が掛かる
- 使用する試薬 or 化合物が高価 & 微量でなかなか検討できない
テーマによって現状や課題も違います。
研究の向き不向きは取り組み方や考え方の問題で、結果の有無は関係ありません。
向いているかどうかの一番の違いは “上手くいっていない時にどれだけ時間と労力を研究に注げるか” どうかです。
順調に進んでいる時に頑張れるのは当たり前です。
研究には答えが無いからこそ、試行錯誤し続けることが欠かせません。
誰でもいいから相談する
研究が停滞している時は嫌でも研究のことが頭に浮かぶと思います。
何か期限が迫っていると「間に合わなかったらどうしよう…」と不安やプレッシャーで落ち着かない時もありますよね。
指導教員に割り当てられた研究テーマとはいえ、そのテーマは学生自身が責任を持って取り組むことが求められます。
そのため、「このくらい自分で乗り越えないといけない」と自分 1 人で背負い込んでしまう方もいると思います。
ただ、研究を真剣に取り組む姿勢は素晴らしいですが、自分を苦しめてまでやる必要はありません。
一番避けなければいけないのは研究室に行けなくなってしまう状態です。
自分の中で限界を超えてしまう前に誰でもいいので相談しましょう。
いきなり教員に相談するのはハードルが高いと感じるなら、まずは先輩や同期に相談してみて下さい。
全部 1 人で抱え込む必要はありませんし、自分のやり方で行き詰った時は積極的に相手の意見を取り入れてみることは大切です。
自分の力だけで乗り越えたい気持ちもすごく理解できますが、行き詰った時ほどプライドと頑固さは一切役に立ちません。
最後に
研究が停滞してしまう状況は、研究生活を送っていれば多くの方が経験すると思いますし、精神的にかなり辛いと思います。
しかし、上手くいかなかった実験データは何一つ無駄ではありませんし、「自分はダメな奴」と自分を卑下する必要もありません。
無事に卒業するために、1 人で抱え込まずに周囲と相談しながら研究に取り組みましょう。
関連記事
カワラボ
最新記事 by カワラボ (全て見る)
- 大学院進学は避けた方がいい ? 研究に向かない人の特徴 - 2021年4月5日
- 研究室の教授と合わない学生が関係を悪化させないために意識すべき点 - 2021年2月12日
- 修論発表会の不安や緊張との向き合い方 - 2021年1月29日
コメント