成績が優秀な人は研究に向いているって思いますよね。
しかし、実際に三年半の研究生活を経験して、必ずしも成績の良し悪しと研究の向き不向きは関係ないと感じました。
私の同期で研究向きだった友人の成績は悪かったですし、成績が優秀でも研究に不向きな人もいました。
ここでは、学業成績と研究の向き不向きは関係ない理由について紹介します。
目次
勉強と研究は取り組み方が違う
勉強は既知のことを学び、理解することが目的です。
そのため、分からない点があっても専門書を頼れば大抵解決するので、ちゃんと勉強すればテストで良い点数を取れます。
一方で研究の場合、未知の領域に関する新発見が目的です。
専門書や論文に記載されていないから分かりません、できませんというのは一切通用しないので、常に試行錯誤が欠かせません。
「~だからこうなる」を学ぶのが勉強、「何故そうなる、ではどうする」を考えて、実行するのが研究への取り組み方です。
課題への取り組み方が全く違うので、成績が優秀だから必ずしも研究もできるとは限りません。
自分の研究テーマにどれだけ真剣に向き合うか
成績の良し悪しに関わらず、誰でも専門書を見れば知識なんか簡単に学べます。
- 実験原理、操作方法
- 試薬の役割、扱い方
- 実験結果の見方、評価方法
必要な時に必要に応じて調べれば何とかなるので、自分の研究テーマに真剣に向き合えるかが重要になります。
研究はとにかく失敗が多いので、その原因と具体的な改善策を常に考えなればいけません。
知識はもちろん大切ですが、どれだけ検討を重ねられるかが研究の進捗に大きく影響します。
テストのために満遍なく勉強する必要が無く、自分がやるべきことだけに取り組めばいいので、成績の良し悪しは関係ありません。
成功体験がきっかけではまることもある
成功体験や達成感はモチベーションを維持、上げるために必要不可欠です。
なかなか期待した結果が得られない研究生活において、自分で考えて実験し、目論見通りの結果になった時に味わえる高揚感は何物にも代えられません。
こういう成功体験が実験は楽しいと感じるきっかけになります。
楽しくなると意欲的に実験するようになるので、検討数が多いほど成果にも繋がりやすくなります。
私の同期の一人は成績も悪く、研究室にも来ない日がありましたが、成功体験がきっかけでこれまでとは見違えるくらい意欲的に実験するようになりました。
きっかけって重要なんだなぁと気付かされた経験でした。
環境も影響する
残念ながら他人が関わる問題は自分の努力ではどうすることもできません。
研究生活において最もしんどいのは全然進捗が無い時です。
自分で考えるのは確かに大切ですが、研究者でもない学生さんが一人だけで乗り越えるのは大変ですし、時間も相当掛かります。
そのため、適切な指導をしてくれる先輩、教員の存在はかなり貴重ですし、学生さんに与える影響も大きいです。
冒頭で述べた成績が優秀だった友人は、その影響をもろに受けてしまいました。
彼の研究テーマは当時研究室で優秀な先輩ですらお手上げだった課題の解決が必須でした。
研究室の看板的なテーマであり、教員にとって最も重要なテーマでしたので、なかなか進展が無いことで毎日長時間怒られていました。
彼が新しいルートを考えてきても却下され、先輩にも見捨てられ、八方塞がり状態でした。
上手くいかないとまた教員に怒られるので、新しい検討実験より慣れた実験を優先するようになりました。
検討数が進捗に影響を与える研究において、新しい実験を躊躇するのは致命的です。
研究室は研究を進展させるためにどうしても批判的な環境になりがちですが、失敗が許容されない環境は精神的なプレッシャー、モチベーションの低下に直結します。
最後に
研究の向き不向きに成績は直結しませんが、研究を進めるために専門知識は絶対必要です。
実験、プレゼン資料作成、発表は経験すれば慣れるので、過度に心配する必要はありません。
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