研究生活が始まると実験主体の生活スタイルになります。
さらに、論文を書けるだけのデータを集めないといけません。
そのため研究の進捗状況や実験内容によっては、朝早かったり、夜遅くまで研究室に残ることもありますし、休日も研究室に行くことは珍しくありません。
失敗を重ね続けるのが研究なので、せっかく実験しても論文には使えないデータになってしまうことはよくあります。
論文提出が迫っているのに、使えるデータが少なくて焦る学生さんは少なくありませんし、指導教員から厳しく詰められることもあるので、この状況はかなり精神的にキツイと思います。
結果に関しては本人の努力も欠かせませんが、研究テーマの難易度も関わるので、研究テーマは慎重に選んで欲しいと思います。
ここでは、研究テーマを選ぶ時に考慮して欲しい点を紹介します。
目次
先輩方の研究資料に目を通す
卒研のテーマを決める段階で研究背景や専門知識を十分に把握している学生さんは少ないと思います。
何をしていけばいいのかがよく分からないとテーマ選びに悩んでしまいますよね。
安易に選んで後悔しないなために、まずは研究背景や専門知識を勉強する必要があります。
学術論文を読んでも構わないですが、まだ論文に読み慣れていない学生さんがほとんどではないでしょうか。
そのため、研究室に保管されている先輩方の研究資料 (報告会の資料、卒論、修論) に目を通してください。
研究背景や問題点が簡潔に記載されているなど、非常に勉強になる点がいくつもあります。
- どんな目的でどういう実験を行っていたか
- 実験データはどう評価すればいいのか
- 今後はどうすればいいと考えているか
また、先輩方の資料を見てると気付くと思うのですが、似たようなテーマや実験が多いと思います。
研究室の発足年数や規模にもよりますが、行う実験はある程度決まっています。
勉強になりますし、自分のするべき実験が明確になるので、是非先輩方の資料に目を通してみて下さい。
研究室内で実験系がある程度確立されている方が進めやすい
学術誌への論文投稿が求められていない卒論であっても、進捗や実験データは必要です。
研究経験の乏しい学生さんが短期間でそれらを求められるので、データ取得に時間が掛からない実験が好ましいと思います。
そのため、研究室内で実験系 (方法や手順) が確立されている実験が中心の研究テーマがお勧めです。
目的によって実験条件の変更は必要ですが、やり方が決まっているので、データを得るのに苦労は少ないです。
一方で実験系の確立が必要なテーマの場合、論文を参考にするなど手探り状態からのスタートになり、まずその土台を作らないと研究が進められません。
私の卒論がこういうテーマでしたが、土台を作るための検討実験が中心で終わってしまいました。
後に実験系を確立できた時は嬉しかったですが、常にプレッシャーに追われる日々は結構きつかったです。
こういうテーマはある程度知識や経験が必要だと感じたので、初学者は選ばない方がいいかなぁと思います。
研究室内で実験系が確立されているかどうかは、先輩方に相談すればすぐに分かるので、ちゃんと確認してからテーマを決めましょう。
引き継ぎの研究テーマは新規性を強く意識する
卒論といえども研究には新規性が不可欠なので、引き継ぎの研究テーマの場合は注意が必要です。
研究室の専門分野にもよるため一概には言えませんが、前任の途中経過から研究を引き継ぐわけではありません。
まずは、前任が進めたところまで同じ実験を行い、その上で研究を進展させる必要があります。
前任よりも研究を進展させないと新規性が無い状況になってしまいます。
私が在籍していた研究室の後輩はこの状況になってしまい、卒論発表当日も発表に必要なデータを取得するために早朝から実験してました。
この状況を避けるために前任の研究内容は詳細に把握し、常に新規性を意識して計画的に実験しましょう。
また、研究では珍しいことではありませんが、論文通りに実験しても再現が取れない場合もあります。
経験不足による技術面での問題も否めませんが、再現が取れるまでひたすら同じ実験を繰り返すのは絶対に避けましょう。
論文をよく読んだ上で先輩や教員にお願いして、付きっきりで実験しているところを見てもらってください。
それでも再現が取れなければ、並行して条件検討も行うように心掛けましょう。
実験はあくまで手段の 1 つであり、再現を取ることが目的ではないので注意しましょう。
研究室を代表するテーマはプレッシャーがキツイかもしれない
全ての研究室に当てはまるわけではありませんが、指導教員にとって一早く論文にしたい研究テーマがある場合があります。
例えば、過去に研究室で生体内に新規酵素の存在を示唆するデータが得られていた場合、その酵素の同定及び機能解析を目的としたテーマが始動します。
研究者の業績は論文の内容で評価されますし、研究は競争の世界でもあるので、一刻も早くデータが欲しいというのが教員の本心だと思います。
そのため学生さんに対して「早くデータを出せ」というプレッシャーがかかってしまう場合があります。
私の同期はこういうテーマを担っていましたが、思うように研究が進まなかったので、報告会の度に彼に対してはかなり厳しい指導が行われていました。
指導教員との関係に悩む学生さんは少なくありませんし、厳しい指導方針が大きな要因だと個人的には考えています。
やりがいはあると思いますが、過度なプレシャーがかかるリスクのあるテーマは避けた方がいいかなと思います。
最後に
どんな研究テーマになってもやることは同じです。
研究成果も大切ですが、一番大切なのは研究活動を通じて自分自身が成長することです。
言い方は悪くなってしまいますが、先輩や教員は上手く使って、あまり根詰めずに自分のペースで進めましょう。
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