既に大学院への進学が決まっている学生さんの中には、「自分は大学院でやっていけるのだろうか」と不安に感じている方もいると思います。
自分にとってプラスになると考えて進学を決めたものの、研究生活を経験して自信を無くしてしまった方もいるのではないでしょうか ?
- 実験が上手くいかない
- 報告会では毎回怒られる
- 周りが優秀でついていけない
私は研究職を志して進学を決めましたが、研究が停滞している期間が長かったので、進学するのがとても不安でした。
当時の自分が思っていた通り過酷な 2 年間でしたが、研究生活を通じて多くのことを経験できたので後悔はしていません。
しかし、経験したからこそ、別の考え方を出来ていれば当時のように過度なストレスを抱えることはなかったと思います。
ここでは、大学院への進学を不安に感じている学生さんに意識して欲しい点を紹介します。
目次
過去の自分と比較して成長を感じる
自分の成長を感じることはモチベーションを高めるためにもの凄く大切です。
しかし、毎日失敗を重ね続ける研究生活において、自分の成長を実感することはほとんど無いと思います。
研究を進めるために批判・指摘を頂いたり、とにかく問題点ばかりに目を向けなければいけません。
それで着実に研究が進めばいいですが、そう簡単にいかないのが現実ではないでしょうか。
努力に見合った結果が伴わないと徐々にモチベーションも下がりますよね。
つい目先の結果に捉われてしまう気持ちは痛いほど理解できますが、自分で気付いていないだけで出来るようになったことって沢山あると思います。
- 論文内容が理解できる
- 実験計画を立て、的確かつ安全に行える
- 実験データを正確に評価できる
- 研究について議論できる
- プレゼンが上達している
どんな些細なことでも構いませんが、確実にできるようになったことがありますよね。
試しに第 1 回研究報告の資料に目を通してみてください。
今の方が数段良い資料が作成できますよね。
着実に “自分が成長している” ことを認識できれば、モチベーションを維持できると思います。
他人からの評価を鵜呑みにしない
自信を失くしている時ってつい周りからの評価を気にしてしまうと思いますし、こういう時に言われた言葉というのは結構心に残りますよね。
心無い言葉に傷付いた経験のある方もいるのではないでしょうか。
ただ、他人の評価はあまり当てにならないので真に受けないようにしましょう。
その人の置かれている状況やその時の気分で好き勝手に評価しますし、研究室での評価が全てではありません。
また、研究生活においては進捗の有無が他人と比較してしまうポイントだと思います。
比較自体は悪いと思いませんが、劣等感を抱いたりと自分の心の平穏が乱れてしまうのなら他人との比較は止めるべきです。
研究テーマや直面している課題も全然違いますし、研究成果に関しては運の要素も絡みます。
それに、相手の進捗の有無によって、自分の評価が変わることはありません。
相手の優れている所は参考にし、前述のように過去の自分よりも成長できていれば十分です。
卒業に向けて自分なりに目標を立て、その目標を達成するためにだけ努力しましょう。
失敗は改善すればいいだけ
教育熱心なのかどうかは分かりませんが、学生さんに対して厳しい指導をする教員もいますよね。
研究報告会では長時間ひたすら厳しい言葉を言われた経験のある方もいると思います。
研究に真剣に取り組んでいるからこそ、上手くいかなかったり怒られたりすると落ち込みますよね。
しかし、上手くいかない、怒られたからといって自分を卑下する必要は一切ありません。
失敗が当たり前なのが研究生活なので、上手くいかなかった点、指摘された点は改善すればいいだけです。
怒鳴る教員もいるかもしれませんが、指摘するということは改善の余地があるということです。
何も批判・指摘されない方が危機感を抱いた方がいいと思います。
休んだり逃げてもいい
一番大切なのは自分を追い詰めないことです。
状況にもよりますが、精神的に参っている時は我慢せずにしばらく研究と距離を取りましょう。
自分の健康よりも大切な研究はありませんし、大学院はあくまで選択肢の 1 つに過ぎません。
逃げ道が無い、我慢するしかないという思考は自分を必要以上に追い詰めてしまいます。
既卒向けの就活支援サービスはありますし、楽ではありませんがスキルを身に付け、それを活かして就職や個人で稼ぐという選択肢もあります。
私は M1 の時に体調を崩してしばらく研究室をお休みしましたが、復帰してからは「逃げてもいいんだ」という意識を持てたおかげで、多少精神的に楽になれました。
他にも選択肢があるんだと認識しておくことで、精神的な負担は軽くなると思います。
結果に固執せず、開き直って過程を楽しむ
「この実験方法、条件でやったらどうなるだろう」という点が研究の楽しい部分ではないでしょうか ?
目論見通りの結果にならなくても「この条件ではこういう結果になる」というデータは今後研究を発展させるための貴重なデータになります。
確かに結果も大切ですが、何よりも楽しんで研究に取り組んで欲しいと思います。
しかし、過程を楽しむのって決して簡単ではないですし、私自身も結果に固執してた人でした。
そんな私が過程を徐々に楽しめるようになったのは修論提出の半年くらい前からです。
思い付きでやった実験でたまたまいいデータが得られたのがきっかけです。
懸命に取り組んで報われないこともあれば、思い付きでやって上手くいくこともあると経験できたからだと思います。
結果に関しては本人の努力も欠かせませんが、結果は自分でコントロールできないので、運が絡みます。
だから開き直るしかありませんし、開き直ることが出来れば、過程も楽しめるんじゃないかと個人的に思います。
最後に
不安な気持ちは簡単には薄れないと思いますし、後悔している方もいるかもしれません。
ただ、前述のように大学院はあくまで選択肢の 1 つであり、院卒という学歴が自分の健康を犠牲にするほどの価値があるとは私には思えません。
しかし、大学院での経験が自分にとってプラスに働くこともあるので、せっかく進学するのなら、大学院という環境を自分のために上手く利用してもらいたいと思います。
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