研究室配属の時期が近づくにつれて、学生さん同士の会話に “ブラック研究室” という言葉が頻繁に出てくると思います。
ネットで検索するとブラック研究室の特徴について述べているブログ記事がいくつも表示されると思います。
実際にそういう環境で研究生活を過ごされた方がいるのは事実ですし、今現在、ブラック研究室に苦しめられている学生さんも決して少なくありません。
残念ながら自ら命を絶ってしまったり、精神的に参ってしまい中退を選択する学生さんもいます。
これから研究室配属を控える学生さんは、絶対にブラック研究室にだけは配属されたくないはずです。
ここでは、ブラック研究室の特徴と見分けるポイントについて紹介します。
目次
教育に関心が無く、完全な結果主義
研究室がブラックと化すのはボスである指導教員が学生の指導に関心が無く、結果主義もしくは自分の業績にしか興味が無いからです。
その結果として、
- 学生が教員の駒となってしまう
- 卒業させないと脅す
- 就活させてもらえない
- 学生を徹底的に管理する
- 夜遅くまで研究室にいて実験するのが正義
というブラック研究室が完成されます。
研究室の運営にはお金が掛かり、大学の予算だけでは足りないので、外部から資金を調達しなければいけません。

教員が進行中の研究テーマの意義や「今年は~をやります」とアピールして外部から予算を獲得するため、教員にはその結果・成果を報告する義務、責任が生じます。
教員はまとまった時間を確保するのが難しく、実際に実験するのは必然として院生を中心とした学生さんになるので、教員からプレッシャーを掛けられるようになります。

また、研究者の業績は論文によって評価されるので、もっと成果を出さなければいけないプレッシャーも学生さんに向かいます。
私が所属していた研究室は完全なブラックではありませんでしたが、研究室を代表するテーマを担当していた学生に対しては、「これって指導なのか ?」と思うくらいかなり厳しい対応でした。
研究資金の確保は研究室運営のために非常に大切ですが、資金や業績が全てという結果主義がブラック研究室と化す一番の原因です。
怒鳴ることを指導と考えている
日本では珍しくありませんが、怒鳴ることを指導と考えているタイプの教員もいると思います。
教員は学生よりも立場が上なので、もし逆えば、悪者扱いを受ける可能性や卒業が危うくなる事態を考えればその状況を耐えるしかありません。
そのため、学生側に過剰なストレスを与えたり、怒鳴ることで恐怖心を植え付けることにもなります。

ただ、学生側に問題がある場合もあるため、結構難しい問題ではあります。
私自身、研究室のメンバーが報告会で大炎上している場面を何度も見てきましたが、学生側に問題のある場合も確かにありました。
ただ、そんなに怒鳴る必要があるのかと疑問に思ったこともあります。
教員が教育熱心な方でも、指導方針が合わない学生にとってはブラック研究室だと感じる場合があるので、難しいところです。

ブラック研究室かどうか見分けるポイント
実際に研究生活を送らないとブラックかどうかは分からないですが、以下に見分けるために最低限やるべきことを紹介します。
- 所属学生に尋ねる
- 報告会を見学させてもらう
研究室に関する噂も沢山に耳にすると思いますが、実際に自分で確認してから配属先を選びましょう。
実験系研究室の場合、「遅くまで研究室が開いている」や「土日も研究室がある」というのは実験の性質上致し方のない部分ではあるので、これだけでブラック研究室とは断定できません。
所属学生に尋ねる
配属希望届を提出する前に必ず研究室訪問があると思うので、その際に日頃から研究生活を送っている学生さんにお話を伺いましょう。
1 人だけではなく複数の所属学生さんに質問してください。
- 指導教員の人柄について
- ちゃんと就活させてもらえているか
- 1 人当たりの研究報告会の頻度について
- どういう指導方針なのか
- 普段研究室を出る時間
- ブラックだと思うか
ただ、本心を話してくれるかどうかは分からないので、あくまで参考程度にしましょう。

報告会を見学させてもらう
教員の指導方針は報告会での学生さんへの対応の仕方で大体分かります。
報告会も立派な研究生活の一部なので、自分が翌年には研究報告している状況を考えて見学させてもらいましょう。
研究室訪問の際に、「報告会も見学させてほしい」と伝えれば、余程の理由が無い限り断られないと思います。
あるいは、所属学生さんに報告会の日時と場所を伺って、こっそり部屋の外で立ち聞きして下さい。
学生さんに対して明らかなアカハラとも受け取れる対応をしていたら、その研究室は避けた方が良いかもしれません。
ブラックと厳しい研究室を見分けるポイント
厳しいとブラックの根本的な違いは学生さんの成長に繋がるかどうかですが、似通った点も否めないので、見分けるのが難しいです。
実際に私が学生時代に厳しいと噂されていた研究室にはある特徴があったので、以下に紹介します。
学生のプレゼンの質が高い
多くの大学では 1 月 ~ 2 月に卒論、修論発表会があるので、是非見学してみて下さい。
厳しい研究室の場合、日頃から学生さんのプレゼンに対しても厳しく指導するので、学生さんのプレゼンの質は高くなりやすいです。
- スライドの構成
- 図の配置
- 説明の仕方
- 質問の受け答え
片っ端から悪いところは直されるので、学生さんにとってもメリットはあります。
私自身もかなり鍛えられましたが、発表練習では徹底的にボコボコにされるので、本番よりも研究室で行う練習の方が緊張しました。笑
長時間にわたって公開処刑される可能性もあるので、人によってはブラックと感じるかもしれません。
院生は全員来ているが、B4 で来ない学生がいる
研究室配属は自分の希望が必ず通るわけではないので、本人の意思に反して他の研究室に配属されてしまう学生さんもいます。

実際に枠が余る研究室は、多くの学生さんが避ける厳しいと噂される研究室がほとんどです。
そのため、本人も避けていた研究室に配属されるので、実際に厳しいのなら尚更研究室に来なくなる可能性が高いです。
一方、院生の場合は厳しいのを承知で自分の意志で大学院へ進学するので、余程の理由が無い限り、基本毎日研究室に居ます。
もし、ブラック研究室であれば院生ですら来なくなります。
最後に
ブラック研究室に配属されてしまうかどうか学生さんにとって大きな問題です。
本来学生さんにとって、答えのない問題に取り組む貴重な経験が出来るのが研究です。
自分を追い詰めてやるものではありません。
この貴重な期間をブラック研究室で無駄にしないために、事前に対策できることは全て抜かりなくやりましょう。
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