研究生活において先輩は身近な相談相手であり、初学者にとっては指導してもらうありがたい存在ではないでしょうか。
しかし、先輩との相性に悩む学生さんは少なくありません。
- 話しかけにくい雰囲気が漂っている
- 相談しても具体的なアドバイスは無い
- 自分の考えを言ってもただ論破されるだけ
完全に指導を放棄されている方もいるかもしれませんし、私の同期はそうでした。
私自身も研究の方針を巡って直属の先輩と意見が食い違ったことがきっかけで、相談しにくい状況になった経験があります。
他人が関わる問題なので相性が合わないのは仕方が無い問題ですが、そのせいで卒業が危うくなる事態は避けたいです。
ここでは、先輩に指導を放棄された学生が無事に卒業するために意識して欲しい点を紹介します。
目次
大切なのは自分が成長すること
最も大切なことは研究活動を通じて “問題解決力” を養うことです。
答えが見つかっていない課題を解決する方法を考え、試行錯誤を重ねる経験はこれまでの学生生活では無かったことだと思います。
- 上手くいかなかった要因を考え、具体的な改善策を模索する
- 自分の考えを論理的に主張し、議論する
大学 (院) を卒業したら専門知識のほとんどが役に立たないことの方が多いですし、徐々に忘れてしまうでしょう。
しかし、教員にボロクソに言われながらも自分で考えて試行錯誤し続けた経験や身に付けた問題解決力は今後の自分の強みになります。
文字にしたり、口に出すのは簡単ですが、そう簡単に身に付くものではありません。
研究生活は大変で逃げたいと思うこともあるでしょうが、研究室は自分を成長させるにはもってこいの環境だと思います。
先輩との付き合いの中で最低限のマナーや挨拶は必要だと思いますが、機嫌を伺ったり、無理に合わせる必要は一切ありません。
自分の研究テーマをよく理解し、するべき実験を明確にする
何をすればいいのか分からない状態は一番不安ですよね。
そのため、1 日、2 日掛かってもいいので、自分の研究テーマをよく理解し、どういう実験を行えばいいのか自分自身でちゃんと把握しましょう。
「先輩が指導してくれないから研究できません」というのは通用しませんし、先輩だから何でも知っているわけではありません。
自分で出来ることから少しずつスタートしましょう。
review 論文で勉強する
review 論文は現在明らかになっていることや問題点が簡潔にまとめられているので、勉強には丁度いいです。
google scholar のような論文検索サイトで「○○ (自分の研究に関連するワード) review」で検索するとそれなりに論文がヒットするはずです。
英語の勉強ではないので、翻訳サイトは積極的に利用して下さい。
関連ワードをネットで検索する
なかなか論文がヒットしなかったり、論文読むのが面倒あるいは嫌な方もいると思います。
その場合は普通のネット検索程度でも十分勉強になるので、自分の研究に関連するワード (日本語でも ok) で検索してみて下さい。
そうすると、その分野を研究している研究室の HP や企業の HP が表示されるはずです。
初学者でも理解しやすいように丁寧に説明してくれているので、専門書と合わせて活用すれば、論文でなくても十分勉強になると思います。
研究室に保管されている資料を参考にする
研究室には卒業生や先輩方の研究資料 (論文、報告会の資料、実験データ) が保管されているはずです。
発足年数や規模にもよりますが、似たような研究テーマが多かったり、研究室内で行える実験も限りがあります。
どういう目的でどんな実験方法を採用していたか等、自分の研究で参考になる点は沢山あると思うので、是非参考にして下さい。
初めての実験操作は頭を下げてでも教えを乞う
無駄なところで時間を掛けないために、研究室内で確立されている実験方法は経験者に教えてもらうか、見学させてもらってください。
一概には言えませんが、操作方法さえ覚えてしまえば、あとは条件を変えるだけの実験が多いので早く習得してしまいましょう。
あまりにも先輩が怖すぎて何度もお願いしにくい時は 1 回で覚えるために、やりすぎかもしれませんが以下のようにしてみて下さい。
- 実験手法、器具の使い方を調べる
- 動画があれば確認する
- 用紙に手順、注意点を記載する
- 先輩に教えてもらう、見学させてもらう
- 手順を書いた用紙に追加でメモを取る
- 早いうちに用紙を参考にしながら自分 1 人でやってみる
表現は悪くなってしまいますが、教員や先輩は上手く利用しましょう。
目の前の課題に固執しすぎない
限られた期間内で論文を書けるだけの進捗や実験データを取得しないといけません。
学部で卒業予定の就活している学生さんだとさらに短い期間でそれが求められます。
研究が進展しないと心の余裕がどんどん無くなりますし、徐々に「データを出さないといけない」というプレッシャーに変わってきます。
そのため、つい目先の結果に追われて視野が狭くなってしまい、今行っている実験方法でデータを出すことに拘ってしまう場合があります。
しかし、直面している課題に固執して本来の研究目的とズレてしまう状況はよくありません。
こういう状況になって指導教員に怒られる人を見てきましたし、私も怒られた経験があります。
実験は研究を進めるための手段の 1 つに過ぎないので、別ルートを模索したり、他の実験方法・条件を検討しましょう。
期限が限られているからこそ切り替えは大切です。
上手くいかないことを想定して事前に妥協点や選択肢を用意しておく
前述のように期間は限られているので、なるべく早く次の手を打てる状態が望ましいです。
卒論は特に実績や成果を求められていませんが、最終的には自分が行ってきた研究をまとめないと論文として形になりません。
中途半端な状況で論文執筆の時期に差し掛かると自分が苦労します。
私も卒論の時はそうでしたし、同じように追い込まれている後輩達を何人も見てきました。
研究は目論見通りに進まないのが当たり前なので、それを想定して事前に他の実験方法・条件、妥協点を考えておきましょう。
しかし、考えすぎて何も手に付かない状況は避けたいので、実験に慣れてきたら先のことも考えるようにしましょう。
研究室内にある先輩方の研究資料を参考にしたら良いと思います。
常に先手で対処できるので、心の余裕にも繋がります。
最後に
他人が絡む問題は自分一人ではどうすることもできません。
面倒見のいい先輩もいれば、そうじゃない先輩がいるのは仕方がないことです。
そして、必ずしも先輩だから正しいということはありません。
友人関係を築く必要は無いので、自分が卒業するために上手く先輩や指導教員を利用しましょう。
一番大切なことは自分自身が成長することです。
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