「研究室」で検索すると「辛い」「行きたくない」といったネガティブな関連ワードが表示されるように、研究生活に悩みを抱えている学生さんは決して少なくありません。
私自身も悩みや不安をずっと抱えながら研究生活を過ごしていました。
当時は「こんなことが辛いなんてただの甘えだ」と思っていましたし、同じように感じている方もいるのではないでしょうか ?
しかし、よく考えてみると人間が辛くなる要素で溢れているのが研究生活です。
- 立場が上の人 (主に指導教員) からひどい対応をされる
- 常に進捗、成果を出さなければいけないプレッシャーに追われている
- どれだけ努力しても一切報われない (研究が進まない)
- 上手くいっている人と嫌でも比較してしまう
辛いと感じるのは当たり前だと思います。
「だから我慢しろ」という意味ではなく、だからこそ限界を迎えてしまう前に一旦立ち止まってほしいと思います。
ここでは、大学院を辞めたいと思っている方に考えて欲しい点を紹介します。
目次
必ず逃げ道を確保する
私が何故研究生活が辛かったのかというと、全然研究が進まないのが主な要因でしたが、根本には我慢するという選択肢しかなかったからです。
- 学費を払ってもらっている、親に申し訳ない
- 逃げたら今まで苦労してきたことが無駄になる
- 中退したら就活に響く ?
逃げ道が無かったので、常に自分で自分を追い詰めていました。
当時の私と同じように自分で追い詰めてしまう方もいると思いますし、この状況は本人が一番辛いでしょう。
そのため、自分自身のために逃げ道を確保する必要があります。
自分にはまだ他に選択肢があることを認識することで心の余裕に繋がります。
学生相談室を利用する
簡単そうで難しいのが人に相談することです。
そもそも自分では「甘え」や「逃げ」と捉えているので、学生相談室の利用を躊躇してしまう方が多いのではないでしょうか ?
しかし、最も避けなければいけないのは研究室に行けなくなってしまう状態です。
自分が悩んでいることを知っている存在がいるだけで精神的負担は軽くなりますし、必要に応じて具体的な対応や助言を受けられます。
私の同期は教員の暴言に悩んでいましたが、相談員さんを交えた三者面談を定期的に行ってからは、彼に対する教員の対応も変わりました。
私自身も利用したおかげで、だいぶ精神的な負担は軽くなりました。
少しの期間休養を取り、自分と向き合う
健康よりも大切な研究はありませんので、まずは休養を取りましょう。
無難に体調が悪いと連絡すれば休めると思いますし、もし、メンタルの不調が体調にも出ている場合は、病院で診断書を書いていただき、教員へ提出すれば確実にしばらく休めます。
いつも研究 (室) のことで頭がいっぱいだと思いますが、研究室を出てからの人生の方が圧倒的に長いので、自分自身がどう生きていきたいのか真剣に向き合ってください。
- 自分が望む生き方に院卒の学歴は確実に必要なのか
- その生き方をするためには何が必要なのか
人生の中でもちゃんと自分と向き合う機会はそう多くないと思うので、休養期間を上手く利用しましょう。
少し休んだところで卒業には響かないので安心して休んでください。
既卒者向けの就職支援サイトを利用する
多くの企業の採用条件に「大卒」が求められていますが、大学院を中退しても「大卒」という事実に変わりはありません。
20 代で転職する人もいるので、悲観する必要もありません。
眺めるだけでも構わないので、既卒者向けの就職支援サイトを利用しましょう。
自分にはまだ選択肢があるんだということを自身で確かめて下さい。
休学をして復学するまでに選択の幅を広げる
辛い状況はそんな簡単に変わらないと思います。
もし、研究と距離を置きたいのであれば休学も視野に入れて下さい。
「新卒」として就活できますし、環境を変えて、自分自身と向き合う期間を設けましょう。
ただ、休学明けは必ず元の環境に戻りますし、今の自分が辛いと感じている状況を乗り越えなければいけません。
休学期間を利用して、自分を追い詰めてしまわないように「逃げ道の確保」だけでなく、選択の幅を広げるために具体的な行動に移して下さい。
- 独学でスキルを身に付ける
- 論文を書くために必要な実験データと具体的な実験方法をいくつか考える
- 就活イベントに参加する
- 長期インターンシップに参加する
- 留学する (コロナ禍の今は厳しい)
私は休学はしていませんが、しばらくお休みをしていた期間に独学で英語とプログラミングの勉強を始めました。
自分の中で選択肢が増えたことで、研究室に復帰後は以前よりも心に余裕を持って研究生活を送ることが出来ました。
選択の幅を広げるのも大切ですが、まずは休養が最優先なので、体調が回復してきたら徐々に具体的な行動に移すように心掛けて下さい。
研究室に戻る時期が近づいてきたら、論文を書くために必要なデータ、実験方法・条件そして妥協点を考えておくと、多くの選択肢を持った上で研究生活に復帰できると思います。
後ろ向きな理由で中退を選択しない
院進学の理由は何でも構いませんが、後ろ向きな理由で進学を決めたわけではないはずです。
後悔しているかもしれませんが、自分に少しでもプラスになると思ったから進学を決めたのではないでしょうか ?
だから、もし真剣に中退を考えるのであれば、「辛い」「行きたくない」からではなく、「他にやりたいことがある」といった少しでも自分にプラスになるような前向きな理由を考えて欲しいと思います。
私自身はどちらを選択してもプラスになるとは思えませんでしたが、中退したら一生引きずるだろうなぁと思ったので、研究室に残る道を選択しました。
後悔するかもしれないと少しでも思うなら、中退するかどうかの決断は先延ばしにして下さい。
精神的に不安定な状態の時に大きな決断をするのは絶対に避けましょう。
最後に
今が一番辛いと思います。
私も今はいい経験だったなぁと思っていますが、当時はたまらなく辛かったことをよく覚えています。
信号待ちしている時に、あの車がこっちに突っ込んできてくれたら…とか本気で考えてました。
そのくらい精神的に追い詰められていましたが、しばらく距離を取り、逃げ道を確保したおかげで何とか卒業出来ました。
辛い時は逃げるか我慢するかの二択ではなく、一旦立ち止まり、自分にとって何が一番いいのかを考えて欲しいと思います。
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